本書の帯には「超効率的」と大きく書かれているが、読んでみた印象はそれとは違っていた。
いや、もしかしたらこの「超」とは、ものすごいというようなアルティメット感ではなく、それを超えるもの、つまりポスト効率、という意味なのかもしれない。
なにせ本書で語られる英語の勉強法は、至極まっとうなものだ。一冊の問題集を何度も解く、短い時間でもできることをやる、テキストを「分解」して持ち歩く。そこには余計な装飾というものがまったくない。目的にまっすぐに向かっていく。
しかし、そこに硬さが感じられないというのが本書の特徴だろう。「かくあるべし」という鋳型に、自分を注ぎ込んでいくようなストイックさは皆無である。その意味で、実際的であり、現実的な方法だ。
たとえば、以下のようなことを多くの人が行ってしまう。
以前の私は、「20章あるテキスト1冊を1か月でやり終えよう」と決めたあとで、単純に、「平日に1章ずつやれば終わる。土日を予備日にすればバッチリ!」というような計画の立て方をしていました。
珍しくない計画の立て方だろうし、挫折まっしぐらな計画の立て方でもある。こういう「おおきな」やり方は、まずうまくいかないのだ。現場を知らない部長の「鶴の一声」の企画ぐらいうまくいかない。
本書は、そうした「おおきな」やり方を提唱しない。いろいろなものを「ちいさく」捉え、実行するアプローチをとる。ちいさくとりかかり、問題があれば改善する。それを繰り返し続けていく。
一見根気のいる作業で、とても「効率的」とは思えないが、実際歩いてみれば、その道が一番歩きやすかったことがわかる。そういうアプローチである。
その意味で、本書は非常に易しいのだが、優しくもある。全体を通して、柔らかい雰囲気が伝わってくる。それはきっと、「おおきな」ものを押しつけてこようとしない点が関係しているのだろう。方法の奴隷にはなっていない。同じことは、『「箇条書き手帳」でうまくいく はじめてのバレットジャーナル』からも感じられた。
ともあれ、本書を読んでいると、自分も何かしら勉強したくなってくる。英語に限らず、何かを学ぶことは、素直に楽しいものである。