マクロス・シリーズのテレビ作品としては4作目。『マクロスF』から8年後の世界が描かれている。
とりあえず、まあ、マクロスだった。バルキリーが出てきて、恋愛要素があって、歌が歌われる。紛れもなくマクロスだ。ドッグファイトの描写はさすがで、実に迫力がある。対して、恋愛要素はあまり掘り下げられていない。三角関係もほどほどいったところ。
その代わり、本作では人間VS人間の戦い(つまり戦争)と、歌VS歌の戦いが展開されている。それが一つの特徴だったと言ってもいいだろう。
歌は言葉以上の意志を伝える力を持っている。それが異文化交流を可能にするのだとしても、それを一つの技術(テクノロジー)として捉えれば、別の利用方法もある。そうしたメッセージが後半では語られている。歌の力を相対化させたと言えるかもしれない。その意味で、本作に続くマクロスシリーズはまた新しい難しさを抱えることになるだろう。
それはそれとして、音楽を提供する単位の視点でテレビシリーズを振り返ってみると、絶対的存在としてのアイドル、バンドの中のアイドル、相対化され派閥を生むアイドル、チームユニットとしてのアイドルと、実際の音楽シーンと呼応していることがわかる。さらにこれは逆向きの流れもあって、リン・ミンメイのシンデレラストーリーは、そのまま「マクロス作品で楽曲デビューして、そこからアーティストに」というリアルな音楽シーンの動きにも対応する。面白い関係だ。
実際、美雲・ギンヌメールの歌を担当したJUNNAは15歳ながら(※原稿執筆時点)圧倒的な歌唱力とその存在感を示したし、メインヒロインの一人でもあるフレイア・ヴィオンの声をあてる鈴木みのりも私の耳に強く残ることになった。共に今後の活躍が期待される。
とまあ、いろいろ書いてきたが、本作はどこをとってもマクロスシリーズである。その路線が好みなら、外すことはないだろう。