クリエイティブプログラマーとは何だろうか。
問題にぶつかったときに新しい方法で解決しようとするならば、つまり創造的に問題解決しようとするならば、それはクリエイティブプログラマーだろう。
それだけではない。まだ十分に問題だと見なされていないことに「問題」を見てとること。それもまた一つの創造性であり、その力もクリエイティブプログラマーには欠かせないように思う。
本書の表現を借りれば、クリエイティブプログラマーとは「問題発見者であると同時に問題解決者」でもあるわけだ。
本書ではそうした境地に至るための複数のノードが提示されている。目次は以下の通り。
- Chapter 1 創造性の先にあるもの
- Chapter 2 専門知識
- Chapter 3 コミュニケーション
- Chapter 4 制約
- Chapter 5 批判的思考
- Chapter 6 好奇心
- Chapter 7 創造的な心の状態
- Chapter 8 創造的なテクニック
- Chapter 9 創造性に関する最終的な見解
まずChapter 1で「創造性」という概念が検討され、続くChapter 2からChapter 8までが本書の副題に含まれる「創造力を駆使して問題解決するための7つのテーマ」が個別に議論される。最後のChapter 9では、「創造性」という概念が改めて批判的に検討される。
こうして見てみると、面白いことに気がつく。本書は具体的なプログラミング言語の知識を必要としない、「プログラマー」全般向けの内容であるが、章題からもわかるように知識労働者全般に通じる話にもなっている。特に、組織に属して全体として成果を上げる必要がある知識労働者向けの内容だと言えるだろう。
その意味で、もっとも重要なのは「Chapter 3 コミュニケーション」と「Chapter 5 批判的思考」である。個人主義的な知識労働者が苦手なのがこの領域であり、多くが「自分勝手」な仕事に陥りがちなのである。
基本的に知識労働者というのは、ドラッカーが見た通り他人への貢献ではじめて成果が上げられる存在である。つまり問題解決してナンボなのだ。
今後生成AIによって、専門家でなくても解決できる問題の数は飛躍的に増えていくだろう。そのとき、ポジションを守れるとしたらどんな専門家であろうか。言うまでもなく、そうした状況にあって「創造的」なアプローチが可能な専門家であろう。