スティーブン・キング原作の超大作ファンタジー(的な何か)の映像化となれば映画館まで足を運ばずにはいられない。なにせ、私はこのダークタワーシリーズが大好きなのだ。少なくとも二回は通読した記憶がある。
が、それもずいぶん過去の話なので、本作の筋みたいなものはほとんど忘れていた。せいぜいガンスリンガーかっこいい、くらいの印象である。
スティーヴン・キング [KADOKAWA/角川書店 2017]
で、本作なのだが、率直に言うとダークタワーシリーズをモチーフにしたガンアクション映画である。位置づけ的にはガンスリンガー(ローランド)が主人公なはずだが、ストーリーラインはジェイクを中心に進む。言い換えれば、ジェイクの成長譚として本作は視聴できるだろう。
むろんガンスリンガーがメンターなわけだが、そんなに単純な構図でもなく、輝き(シャイン)を持つ稀有な少年のジェイクとの結びつきを通じて、ガンスリンガーが恢復していく話でもある。ただ、その側面はそれほど強くないように思われた。
総じて言うと、これがダークタワーシリーズの映画版なんですよ!と言われるともにょーんとしてしまうわけだが、その点を手近な籠に入れて押しのけてしまえば、映画作品としてはうまくできていたように思う。異能を持つがゆえに現実からハブられてしまう少年。異能と妄想と境界線。信頼と愛。そして、派手なガンアクション。監督ニコライ・アーセルもたぶん大いに苦労したのだろうが、その手腕は発揮されていたのではないだろうか。
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