フルのタイトルは、『数字で救う! 弱小国家 電卓で戦争する方法を求めよ。ただし敵は剣と火薬で武装しているものとする。』であり、もはやタイトル感は一切ないのだが、それはそれとしてなかなか切り口が面白いライトノベルである。
冒頭に、数式が登場していて──数式が登場するとその本の売上げが一割は下がるという出版都市伝説がある──、またすごいところから攻めてくるなと思いきや、それきり数式が云々されることなく、よくある異世界転生ものへとつながっていく。数学と言えば数学なのだが、微積分などではなく、確率とゲーム理論の話が多い。まあ、戦略・戦術と組み合わせられる対象と言えば、そうなってしまうだろう。でもって、これが案外面白いのだ。
ゲーム理論のアプローチを用いた劇的な逆転劇。ゲームの結果ではなく、ゲームのルールを変えてしまう発想。単純なストラテジーものとしても楽しめる要素が多い。その意味で、理系の人もそうでない人も、何かしら惹きつけられる要素があるのではないだろうか。ただ、これをシリーズ展開していくとなると、かなりの難行を強いられそうな予感はある。
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