第一期というか、日本編の最終巻。
なんというのだろうか。突然の幕切れ、という感じがしないではない。少し悲しくすらあった。でも、その予兆はもちろんあったのだ。
大・玉田・雪祈のトリオは、即席だった。縁という言い方もできるが、間に合わせという言い方もできる。彼らがトッププレイヤーとして駆け上がっていくストーリーは、たしかに爽快ではあろうが、あまりにもご都合主義である。もちろん、マンガなのだからご都合主義は結構なのではあるが、そのご都合は本作が要求するリアリティーとは噛み合わない。
本作は異才と情熱を描く作品である。そして人生にまつわる運を描く作品でもある。その意味で、『響〜小説家になる方法〜』と近しい雰囲気を受ける。情熱はたしかに必要である。そのような熱量がなければ、何も成し遂げることはできない。しかし、圧倒的な才能が情熱と結びついたときに発せられる熱量は、そもそもが異質なのだ。だからこそ、私たちはそれに心を奪われる。人間ひとりの自我など軽々吹っ飛ばしてしまうだけの暴風が、そこには吹き荒れているのだ。
雪祈は絶望しただろうか。この世を憎んだろうか。そんなことを考えるだけで、もの悲しくなってくる。でも、きっと彼は生きていくだろう。どのような形であれ、彼自身として。
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