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出版とライブについて

以下の記事を読みました。

出版にとってのライブとは? | コラム | シミルボン

「出版」のプロセスで印刷・製本まで辿り着くと、もう取り返しがつかない。それゆえ版面を固定する前に、誤りがないかどうかを確認する工程が必要となる。だから編集や校正に時間や労力をかけるのだ。ある意味、演劇や演説へ臨む前に、何度も練習するのと似ている。時間の経過とともに記憶が薄れたとしても、本を読み返せば自分の言葉はよみがえってくる。そう考えると、ほんとうは出版とライブの相性はいいはず。

「ほんとうは出版とライブの相性はいいはず」

では、出版とライブの関係について考えてみましょう。

事前か事後か

まず、「前か後か」の視点があります。つまり、出版の前にライブするのか、出版の後にライブするのか、ということです。

出版の前にライブするとは、たとえば講演会やセミナーなどを行い、その内容を本にしてまとめる、ということです。大学の講義をまとめた本などは、昔からよく出版されています。

自分の話になりますが、以前とあるイベントで「断片からの創造」というプレゼンテーションをしたのですが、これが実に刺激的でした。最終的に本にしてまとめようと思っている内容の概要をひたすらにしゃべったのですが、そうしてしゃべっているうちにさらなる着想が湧いてくることも珍しくありません。また、聴いてくれている人の反応や、提示された質問によって、さらに内容を洗練させることもできます。

同じテーマで、何度もブラッシュアップを繰り返しながら、プレゼンテーションを続けていけば、その内容は確実に充実していくでしょう。その後、本としてまとめれば、立派な出来になるはずです。つまり、出版の前のライブとは、「本」というコンテンツ作りに向けたライブということです。

もちろん、事前のイベントそのものがプロモーションの効果も持つので、販売促進も期待できます。

後からライブ

出版の後にライブするとは、たとえば出版記念イベントなどがあるでしょう。シンプルな握手会、サイン会といったものもありますし、よりイベント感を出すなら朗読会という手もあります。

実用書であれば、本の内容に関係するセミナーもありますし、他の人を招いてトークイベントを開催することもできます。

どのような場合でも、基本的には「本」のプロモーションに軸足があります。もちろん、イベントの中のやりとりによって、次回作の構想が固まるようなこともあるでしょうが、それはあくまでおまけといったところでしょう。

無料か有料か

ライブ体験を無料で提供するか、有料で提供するかのにも違いがあります。

前者は純然たるプロモーションとして、後者は収益構造の一部としてそれを捉えることになります。このあたりは、ビジネスモデル構築の話になるので、あまり込み入ったことは書きませんが、一つのポイントは「希少性」の取り扱いについてです。

経済学は、希少性の学問であるなどと言われますが、マーケティングの分野でも、コモディティ化を避けるために希少性によって差別化する、という考え方は一般的です。

が、実は「物を売る」という行為において、希少性の付与は絶対的なものではありません。たとえば、人がアーティストのライブに足を運ぶのは、それが稀少だからではなく、代替が効かないからです。自宅のDVDでライブを見るのと、ライブ会場に足を運ぶのは等価ではありません。もちろんアーティスト側もそれを理解しているので、同じ全国ツアーでも会場ごとに内容をアレンジしたりもしています。

一般的に「体験を売る」と言われているのはそういうことで、いかに代替性の無いものを提供できるかがポイントになるわけです。そうしたものは、必然的にマスプロダクトからは遠ざかり、結果としてそこに希少性が発生するわけですが(大量生産できない、ということです)、それは希少性を求めてのことではなく、あくまで結果として出てくるだけです。

そうしたものと、はじめから希少性を意図したものとは少し違う点は意識しておいた方がよいでしょう。その違いによってアピール(セールス)の方法も変わってきます。

リアルかネットか

もう一つ、そのライブがリアルなのかネットなのかの違いもあります。

リアルについては説明は不要でしょうが、ネットであれば動画放送とか、そうしたものが視野に入ります。もちろんそれも「ライブ」であるのです。

リアルもネットも、それぞれに長所短所があるわけですが、人がより多くお金を支払おうと思うのはリアルの方でしょう。この分析は避けますが、概ねそう言っていいと思います。

だったらリアル重視がいいのかというと、その考え方は基本的に人口の多い都市部に住んでいる人だけにしか使えない(あるいは使いにくい)という点は考慮すべきでしょう。

私は京都の片田舎に住んでいるので、マーケティングの話などを見ると「うん、それ東京近郊だからできる話だよね」と思うことがたびたびあります。もちろん、新幹線に乗れば3時間ほどでそうした場所に足を運べるわけですが、それを日常的に行うのは難しいですし、単純に損益分岐点も上がります。

ネットはその分、田舎にも開かれた「ライブ環境」です。もちろん、提供できる体験に違いがあるわけですが、「そうは言っても」な地域に住んでいる人も視野には入れておくべきでしょう。

さいごに

3軸が出てきたので図が描けそうですが、それは各自脳内で行ってください。

たぶん、いろいろな施策を思いつくことでしょう。ポイントは、代替性の効かないものをいかに提供できるのか、という価値に軸足を置いた考え方です。それさえ外さなければ、コンテンツ作りにでもプロモーションでも役立てられるでしょう。

出版とライブの相性?

そりゃ、もちろんいいです。

何と言ってもスクライブという言葉もあるくらいです。

………。
……。
…。

あれ、落ちてない?

おそまつ!

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