『レオ・アッティール伝』や『烙印の紋章』シリーズの杉原智則が送る新シリーズ。
戦記物、英雄譚の雰囲気もあるが、一筋縄ではいかないのが著者のひねりである。簡単に言えば、勇者たちの活躍によって、邪心を讃える王国の野望は潰えた、めでたし、めでたし。というところから始まる物語だ。善と悪の相対性、勧善懲悪が抱える闇。子供向けコンテンツではあまり好まれないテーマが扱われている。
タイトルにあらわされているように、主人公である元英雄は、邪神騎士と転じるのであろう。問題は、一つの戦争を終わらせた彼が、次の戦争をどのように終わらせようとするのか、である。今だ顔を見せない、古き戦友たちと彼はいかに渡り歩くのだろうか。その筆運びに期待したいところである。
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