表紙イラストはほんわかした感じであるが、実際はわりと暗めなテーマな物語である。
冒頭はバトルで始まり、この作品の世界観を伝えている。しかし、いまいちユトとサラサのどちらに視点を寄せて読めばいいのかわかりづらい。その意味で、若干進みにくいのだが、徐々に話が進んでいくと、どのポジションで読めばいいのかは明らかとなるし、突飛に見えた設定の伏線的意味も明らかとなる。その意味で、後半からが本作の本番といえるだろう。本格的な──つまり、主人公の特性が発揮される──バトルも、やはり後半の方が盛り上がる。
「スティール」(他者の魔法を奪う)という設定は、ある意味でゼロサムゲームのようなものであり、それはそれで一つのメタファーとしても読めるかもしれない。
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