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『働くということ』(日本経済新聞社=編)

「生きるために働く必要がなくなった時、人は人生の目的を真剣に考えなければならなくなる」

経済学者ケインズの言葉として紹介されている。

本書は、さまざまな働き方をする人たちをインタビューした一冊だ。著名人とはほど遠い、ごく「一般」の人たち。

でもそれは、古い価値観における「普通」の人たちとは違っているかもしれない。働くことについて、生きることについて苦悩を抱える人たちなのだ。

きっと敗戦直後の日本では「人生の目的」を考えている余裕などなかっただろう。そして、その問いとの向き合い方を知らないままに、時計の針は進んでしまった。

現代ではいろいろな働き方・生き方が選べる。選ばなければならない。文化という前例に倣っても、誰も自分の人生に責任を取ってはくれない。

「働くとは何か?」

という問いに、自分で答えを出さなければならないのだ。そして、自分でその答えを採点しなければならない。厄介だ。非常に厄介だ。

でも、生きるということは、そういう厄介さを「よいしょっ」と背負い込むことなのだ。

働くということ (日経ビジネス人文庫)
日本経済新聞社=編 [日本経済新聞社 2006]

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