表紙に「自分でやる文章校正のコツ」とあるが、まさに本書の内容を示しているだろう。ひとりで原稿を書き、その書いた原稿を自分でチェックする(チェックしなければいけない)人向けの本だ。
三つの大きな章立てで、「校正」についてのコツやノウハウが提示されている。原稿をチェックする際、どのような点に気をつければいいのか。あるいはどのようなやり方をすれば効果的なのか。そんなお話が盛りだくさんである。
全体的にわかりやすい文章であり、実例も豊富なので、理解しやすいだろう。またセルフパブリッシャーの大半が「電子書籍」を書くことも念頭に置かれている。その意味で非常に実用的な内容だ。
文章技術の本では、「文章の書き方」に重点が置かれるが、チェックに関しては「書いた文章を読み返しましょう」ぐらいのラフな提案に留まることが多い。言い換えれば、どこに注目して読み返せばいいのかはあまりアドバイスされない。だから、いくら読み返しても、見逃してしまうミスが出てきてしまう。
かといって、文章校正技法の本はプロの校正者向けに書かれており、重厚な分とっつきにくさもある。本書はあくまで「ひとりで全部をやる」というスモール・セルフパブリッシャー向けを意識した内容であり、「うん、これならやってみよう」と思える内容になっている。その感覚はやはり大切だろう。
目次情報
第1回 校正者がやってきた!
・セルフパブリッシングに校正は不要?
・たんなるまちがい探しでなく
・見落とさないための20の知恵
・付録──校正のチェックポイント
第2回 一文字一文字に愛を注ぐ
・一人読み合わせ校正
・読み換えていくほど漢字はわかる
・文字の見た目を変えてみよう
・電子書籍の組版を校正する
第3回 木も見て森も見る
・日本で初めてラジオから流れたCMは?
・図書館のレファレンスから学ぶ
・意図がなければゆるされる?
・ゲラの側に立つ
・校正者になってみる
表紙イラスト:伊富魚
編集:0.9Gravitation,鷹野凌
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