noteの基本的な操作と心構えが説かれている。
TwitterやSNS、あるいはブログといったものをある程度知っている、という前提の本なので、その辺は注意されるといいだろう。
では、そうした発信サービスとnoteは何が異なるのか。やはり課金であろう。クリエーターが直接コンテンツを売買できる。テキストだけでなく、画像や音声、そしてファイルも販売可能だ。この点によって、一つ大きな変化が生じる。PVを最大の目標にしなくてもよくなるのだ。
これまでは、ブログから収益を得る場合は、Googleアドセンスなどの広告を使うのが一般的だった。しかし、それをお小遣い以上の金額にするには膨大なPVが必要であった。そうなると、PVを獲得するためのさまざまな施策が取られ、それがコンテンツまでにも浸食してくる。何のために書いているのか、非常に曖昧になる現象だ。その手応えのない競争に飽き飽きして、ブログを辞めてしまった人も多いのではないか。
noteは、その競争に参加しなくてもいい。クリエーターがファンとつながり、そのファンに向けてコンテンツを投下すれば、対価をもらえる可能性が出てくる。炎上してでもPVを集める、のような動機に晒されなくてもいい。つまり、ゲームのルールが変わるのだ。
もちろん、こうしたダイレクトな販売は常に情報商材という穴が空いている点には留意が必要だろう。noteでは情報商材の販売が禁止されていると言うが、いつだってグレーゾーンはあるものだし、グレーゾーンがあるとこに人は集まるものだ。だから、そうした点には買う方だけでなく、もちろん売る方も気をつけなければならない。
だからこそ、本書が強調する「継続する」ことの価値がより一層際立つ。
たとえば私はnoteで定期購読マガジンを運営しているが、今週でそれが97ノートになった。つまり、97週目である。さすがに720円の定期購読マガジンを97週も継続する情報商材はないだろう。どう考えても、割に合わない。あるいは定期購読してくれる人も、上下ありつつも増え続けている。それらの事実は、私のメルマガに一定の「信頼度」を与えてくれると言っていいだろう。
派手に騒ぎ立てて、欺瞞がバレそうになったらさっさと他のメディアに移るというのが、欺瞞的な情報ビジネスのよくあるパターンだが、地道な継続はそれとは逆のスタンスである。自分の名前で、コンテンツを売っていきたいなら、さまざまな側面からいって継続することは欠かせない。
本書でも、継続の重要性が説かれ、そのための心構えもいくつか紹介されている。『ネットで成功しているのは〈やめない人たち〉である』という本もあるように、歯を食いしばって続けるのではなく、なんとなく続けてしまうもの、一度やめたとしても結局戻ってきてしまうもの、そういうものを遊び心を持って発信していくのが、結局は一番の近道であろう。
▼目次データ:
はじめに
第1章 noteの基本
第2章 テーマとルールを決める
第3章 noteを書く
第4章 ステップアップする
第5章 自分らしくまとめるマガジン
第6章 継続して表現し続ける
第7章 先輩クリエイターに聞くアウトプットの極意
おわりに