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アニメ『ナイツ&マジック』

そろそろ美少女路線もネタが尽きて、ついにショタか、なんてことを脳天気に考えていたら、これがもうばっちりメカアニメだった。ロボットアニメなのだが、序盤はどちらかというとメカアニメ。さすがに最終話では、ガッツリロボットアニメしていたが(ガンダムを観ているかと思った)、全体を通してメカニカルな要素、工房的要素が多く語られていたように思う。

「小説家になろう」発らしく異世界転生ものではあるのだが、「ノゲラ」のようにそのままの姿で異世界に召喚されるわけではなく、「幼女戦記」のように一から生まれ直す形となっている。もちろん、昔の世界の知識は持ったままだ。この辺のフィクションの作り方が、いかにも現代風だな、と感じる。

極端なことを言えば、本作から異世界転生の要素を抜き取っても、別段それはそれで成立するのだ。主人公エルネスティ・エチェバルリアを、たぐいまれなる天才(&変人)とすれば、何の破綻もなくストーリーは流れていく。その意味で、本作が異世界転生である物語的意味合いはどこにもない。しかし、物語的要請は存在している。

生まれ変わる前のエルネスティが、凄腕のプログラマーかつメカオタク(プラモオタク)であることで、彼が与えられた状況に対し、常に自分が何かを作り出すことで(あるいは改良を加えることで)その状況を打開していく動機が素直に理解できる。なにせプログラマーとはそういう人たちのことだ。また、彼が新しい兵器のアイデアを思いつくことも、まるでコレクションのようにシルエットナイトを集めようとしていくことにも理解が及ぶ。オタクとはつまりそういう人たちのことだ。

つまり、異世界転生という設定は、物語構造ではなく、あくまでエルネスティというキャラ理解へのしつらえと見てよいだろう。そして、そのオタクが持つ歪みまくった情熱を高橋李依は見事に演じていた。正義感が前に出すぎたヒーローでは本作の面白みは半減してしまうので、メカに対して恍惚とした表情を浮かべるエルネスティは必須だったと言えるだろう。

一応、本作は「ファンタジーの魔法世界とロボットの組み合わせ」なわけだが、実質的には、ファンタジー世界は舞台装置のようなものでしかない。主役はあくまで、メカでありロボットなのだ。工房ファンタジー。実に心躍る響きではないか。

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