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アニメ『Re:CREATORS』

原作に『BLACK LAGOON』の広江礼威、監督に『アルドノア・ゼロ』のあおきえい、そして音楽は澤野弘之。期待するなというのに無理がある。

後半やや失速が見られたものの、前半はたいへん盛り上がったし、全体を通して語られる「クリエーターとは何なのか?」という問いかけは、2017年の現代、つまり(かなりキャッチーに言えば)総クリエーター時代において、幅広い人々に訴えかけるものがあるのではないだろうか。まあ、実際総クリエーターなどいうのは大げさを通り越して虚構なわけだが、それでもほど視聴者と創造者の距離が近い時代もあるまい。その境界線は、いつも曖昧模糊としている、という点は、本作において商人力を得られなければどのような設定も現実に力を持つことはない、としてしっかりと語られている。そもそも、古来の「物語」は、語り手と聞き手の相互作用で揺れていたはずで、それがどこかの時代からクリエーション=クリエーターが唯一所有するもの、という風に認識が歪められてしまったことに、大きな問題がある。それはもちろん、著作権法の成立に密接に関わっているだろうし、言うまでもなく西洋的な「個人」の登場を背景に持つだろう。

それはさておき、物語である。本作は、どうどうと真っ向から、メタフィクションの舞台で暴れまくっている。ある部分ではFateシリーズと重なるかもしれないが、向いている視線はまったく異なる。本作では、物語が物語られることが、そしてそれが人々にどのように作用するのかが明確に前景化されている。本作を観ていると、安易な気持ちで世界を創造しちゃいけないよな〜、と強く感じる。たしかに、私が物語を書くとき、その世界の創造主は私なのである。その世界では、いかようにでも、どのようにでも、因果をねじ曲げ、ストーリーを構築できる。しかし、その神のみわざは、安易に振るわれてよいものではない。だって、考えて見るといい。今生きている自分の世界の神が、安易に世界を作り出していると知ったとしたらどうなるか。きっとあなたは世界を呪うだろう。本作でも、それは描かれている。神の怠惰は、世界に呪いをまき散らす。そしてそれは、物語られることによって伝播していく。安易であっていいはずがないのだ。

本作のメタ具合の面白さは、登場人物たちが自分たちは物語の登場人物に過ぎないということを理解している点だけではなく、このようにして描かれる『Re:CREATORS』という作品そのものが、実はどこかで行われている戦いのための承認力を高めようとする試みの一環ではないか、と思わせるねじれた(あるいは二重の)メタな構造だ。これがなければ、本作はよくあるメタフィクションとして終わってしまっていただろう。その構造があるからこそ、自分=クリエーター/視聴者/創造物、という異なる領域をイメージすることができる。それが大切なのだ。

が、上記のような話をまるっと抜きにしても、最高だったのは、メテオラさんである。ああ、なんという、CV:水瀬いのりの魔力。それだけで次回視聴の意欲が湧いてくるのだからさすがである。

Re:CREATORS 1(完全生産限定版) [Blu-ray]
監督:あおきえい,原作:広江礼威

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