主人公は胸に矢を射られ、気がついたら古代ローマへ……というよくある転生ものと思いきや、その実、転生先は古代ローマによく似た異世界であり、そこにいるはずの歴史上の人物には少なからずの改変が行われている。たとえば、ユリウス・カエサルが、ユリア・カエサルとして女性として存在している、とか……。心配しなくてもいい。彼(彼女)の女性好きの属性はすっかり引き継がれている。単に性別が逆転しただけの話である。
ファンタジー戦記物という門構えではあるのだが、要所要所で、歴史(つまり、私たちの世界の歴史ということだ)の事実が放り込まれていて、なかなか妙味のある構成になっている。また、安易な異世界転生物ではないことも、読み進めていくうちにじわじわとわかってくる。わりと(いい意味で)癖のある作品であろう。個人的にはキケロのキャラがよかった。
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