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『SF雑誌オルタナ vol.3 [変身]』

毎号編集長が替わる、という奇妙なSF雑誌「オルタナ」の第三号。今回のテーマは変身とのこと。巻頭にイラスト特集があることも、この雑誌の変身を示しているのだろうか。

波野發作氏の「モノローグ・ワン」は、わりと真っ直ぐなSFで、SF装置が楽しめる。米田淳一氏の「或る会議の風景」は、非効率な「会議」の在り方を茶化しながらも、SF的な空想がうまく使われている。オチの「人間くささ」もなかなか楽しい。

淡波亮作氏の「醜い腕」は、全体的に暗いトーンの作品で、張り詰めたような緊張感が漂っている。山田佳江氏の「詐欺師の鍵・第3話」は、いよいよ転換点あるいはピークに近い印象。ここからどう話を転がしていくのかが興味津々っである。

でもって、広橋悠氏の「アトモスフィア・バーンナウト」。力作と言っていいだろう。同氏の『IMAGO』と同じように、ストーリーテリングの狭間に架空の本からの引用が持ち込まれ、本作の世界観が複数の方向から補強・構築されていく。ストーリーは冒頭から悲劇的な展開が匂わされ、いくつかの起伏を経ながらも、ハッピーエンドとは思えない方向へと話は進む。

さて、結末は……というのは、もちろん読者の楽しみとして残しておくわけだが、結末をどう受け取ろうとも、本作のビートはしっかりと心に刻まれることだろう。

▼目次データ:

・巻頭イラスト特集(禅之助)
・モノローグ・ワン(波野發作)
・或る会議の風景(米田淳一)
・醜い腕(淡波亮作)
・詐欺師の鍵・第3話(山田佳江)
・アトモスフィア・バーンナウト(広橋悠)

SF雑誌オルタナ vol.3 [変身]edited by Ryousaku Awanami
edited by 淡波亮作 [電子出版アシストセンター 2017]

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