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『思考の技法』4〜6の道具

ダニエル・C・デネットの『思考の技法』を読み進めている。読書メモ代わりに記事を書いておく。

思考の技法 -直観ポンプと77の思考術-
ダニエル・C・デネット [青土社 2015]

4.スタージョンの法則
5.オッカムの剃刀
6.オッカムのほうき(ブルーム)

「スタージョンの法則」は本読み(特にSF読み)には有名だろう。”どんなものも、その90%はカス(crud)である”。よって、何かの作品を取り上げて、「これはカスだ」なんて言っている連中は極めて時間を浪費していることになる。どこかの空間を指して、「ほら、ここに窒素がありますよ。ねえ、すごいでしょ」と言っているようなものだ。

「オッカムの剃刀」もまた有名なので、スルー。本書では、その安易な乱用について苦言を呈している。

6番目の「オッカムのほうき」が面白い。これは、本来検討されてしかるべき要素がまるっと消えたままで議論されている、という状態を指す。エセ科学とか、炎上したいだけのブロガーによく見られる。しかるべき専門家が見れば、そこに「何がないのか」を見出すのは容易だが、素人だとなかなかそうはいかない。ワトソンが、なぜ犬が吠えなかったのかに気づかなかったように。

デネットは、このような道具を「思考の道具」ではなく「反・思考的道具」(アンチ・シンキング・ツール)だと位置づけている。思考を促進させるものではなく、むしろ過ちや停止に導くもの、ということだろう。くれぐれもそうした道具には注意したい。もちろん、そのような道具を喜んで使う人間にも、だ。

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