相変わらず面白い。
本を読むことについてのお話であり、そこにちょっとした友情ストーリーが絡められている。
振り返ってみると、本シリーズが本格的に面白くなってきたのは、神林しおりが登場してからだろう。この(読書好きにありがちな)面倒なSFファンと、読書とそこそこの付き合いをしている町田さわ子の掛け合いが本作を奥深いものにしている。言い換えれば、読書についての距離感を自由に動けるようになっているのだ。
神林しおりは、非常な読書家で、作品について語るとき、ややもすればその膨大な知識から「〜〜論」といったものに傾きがちになる(私もそうだ)。町田さわ子の存在は、むしろそれを道化師的に笑う。本とはもっと気楽に付き合ったら良いんじゃないか、とその姿勢で語る。
でも、両者は本が好き、という点で共通しているのだ。
異なる距離感であっても、一人の人間が「本」というものに惹きつけられ、そしてそこからコミュニケーションが発生しうることが本作では明示されている。
ほら、読書好きはいちいちこんな面倒なことを語り始めるわけだ。その辺については、「シン・ゴジラ」の回が痛快である。まさに町田さわ子の言うとおりなのだ。
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