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『知性誕生』(ジョン・ダンカン)

「知性」とは何なのか。それをさまざまな観点から考察していく。脳科学系の話が多い。

興味深いのが、知識と行動と構造の関係である。全体的な構造のイメージが持てないとき、私たちは行動が取れなくなる。座って本を読む、という一見単純な行動ですら、一連の複雑な行動が一つの方向性のもとに有機的に統合されている。その統合を生み出す力がなくなると、たいへん困難な状況に陥る。

これは、タスク管理におけるプロジェクトの重要性を示すものであり、拙著『「本」を読むことについて』で触れた、文脈の構成が鍵を握る、という話にも通じてくる。

断片は知性でもなければ、教養でもない。

しかし、そのこと自体が断片では見えにくいという構造的な問題を含んでいる。

知性誕生―石器から宇宙船までを生み出した驚異のシステムの起源
ジョン・ダンカン [早川書房 2011]

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