2014年1月から刊行を続けてきた『月刊群雛』は、発展的に新たなステージへ向かうため2016年08月号をもって休刊することになりました。
まずはお疲れ様でした。二年と半年以上、全力で走り続けられたと思います。そこで得た経験は無駄になることはもちろんなく、新しいステージに進むための地力となってくれるでしょう。
私も毎週配信のメルマガをやっているのでわかりますが、こうしたものは一度スタートさせてしまうと、なかなか大きな修正は効きません。回し車で遊ぶハムスターみたいに、ただただ走ることになってしまうのです。
そのまま惰性で続けてしまうよりも、状況の変化も踏まえた上で、新しく取り組むことを模索する方が、長期的に見て良い結果をもたらすことはありそうです。かなりの勇気がいる決断だったと思いますが、だからこそ今後も支援してくれる人は残ってくれるでしょう。
もちろん、私も__日本独立作家同盟の正会員ではありませんが__できる範囲で助力したいと思います。
次なる問い
さて、それはそれとして、一体セルフパブリッシングには何が必要なのでしょうか。
日本独立作家同盟の設立宣言文にあるように、当団体の活動目的は「既存の出版社に頼らず作家同士が助け合いながら作品を世に出していくこと」です。本のつくり方、告知の方法、マネタイズの手法など、さまざまな情報交換と交流を行うことで、「インディーズ出版」を盛り上げていきたい。これが、設立当初から現在にいたるまで、私たちの変わらぬ思いです。
「インディーズ出版」を盛り上げる、という理念を考えた場合、たとえば「月刊群雛」が有名になり、そこに掲載された作家さんに注目が集まる、という形はどう考えてもゴールではありません。それでは単に、既存の雑誌が「月刊群雛」に変わっただけです。プロの作家が、プロに近いインディーズ作家に変わっただけです。
そうではなく、もっと根本的な変化、それっぽい言葉を持ってくれば出版業界の脱構築(ポスト近代出版業)が目指すべき地点となるでしょう。
- 一人の作家が、自分で作品を作り、それを世に広める。
- 一人のプロモーターが、作品を集め、それを世に広める。
- 複数の作家が、複数で作品を作り、複数でそれを世に広める。
そうしたさまざまな活動の一つとして、「月刊群雛」が位置づけられればベストでした。あくまで群雛はそうした活動の触媒であり、サポートを得ながら経験するための場所であったのです。
ここ最近になって、群雛以外の場所で、作家さんたちのアグリゲーション活動が目に見えて増えてきています。それは間違いなく群雛並びにそれ以前に存在していた作家アグリゲーション活動・作家支援活動の功績によるものでしょう。こうしたものが、もっともっとたくさん、それも自発的に増えていき、それこそそうした活動が「当たり前」になり、実際に効果も上げるようになる。それが、「インディーズ出版」を盛り上げることにつながっていく気がします。
とすれば、次なる問いは「どうすれば、そのような活動が積極的に行われるようになるか?」です。
もちろんそれは簡単な問題ではありません。片方では作家さんたちの活動を刺激し、支援する施策が必要ですし、もう片方ではそうした活動に注目が集まるような工夫も必要となってきます。
なにせこれまでまったく存在していなかった文化(そう呼んでよいでしょう)を出現させようとしているのです。何であれ、脱構築には骨が折れます。
しかしまあ、おそらくは可能でしょう。そう信じられるだけの要素はたくさんあります。
ともあれ、日本独立作家同盟の、いや、次なる「群雛」の活動に期待しております。
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