不思議な読後感の一冊。
刑事物のミステリーでもあるが、啓蒙的な響きも感じられる。
描かれている世界は、ある種の人にとっては__ときに吐き気を伴うくらい__リアルさが感じられるだろう。超近未来というか「明日」の話でもある。しかし、ある種の人にとってはSFにしか聞こえないかもしれない。そして、ある日、気がつくのだ。あぁ、こんなことが書いてあった本があったな、と。
そういう意味で、多層的に読める本だな、という印象を受けた。
読みながら、ところどころで『Gene Mapper』と似たフック__反応しないではいられない表現__に遭遇した。くすっと笑うまでいかないにせよ、ニヤリと笑みを浮かべてしまうような表現。そんなところからも著者らしさが感じられる。
個人的には、綿貫がいいキャラだ。話が飛びすぎないように地面につける役割を担っている。
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