メタである。メタメタである。途中から、「俺は一体何を読まされているんだ……」という気持ちになってくるのだが、どこかの時点で吹っ切れて、「いいぞ、もっとやれ!」と盛り上がり始める。どうせ崖に落ちるなら、アクセルは全開でGO、である。
ガガガ文庫ということで、強いて分類するならば、これは「ライトノベル」ということになるのだろう。なんといっても、学園ラブコメなのだ。タイトルがはっきりとそう主張している。しかし、本作にライトノベルのタグづけするのは、この世界のどこかに存在する分類神に申し訳ない気がする。「おぬし、これがライトノベルじゃと?」なんて詰問されちゃうかもしれない。「でも、ライトノベルは作品の中身というよりもレーベルによって付与される属性なんです」みたいな説明を延々と分類神にするのも面倒である。
だからまあ、そういう方面でのエンタメは期待しない方がよい。倒されるのは不良でも魔王でも悪の秘密組織でもなく、「作品」というものに関する概念である。むしろ、自分の中にある概念が、無理矢理ハッキングされていく感覚を味わう、というのが本作の醍醐味であろう。
なんて面倒な本なんだ……、と思った方はスルーしてもらって構わない。「何それ、楽しそう」という方は、斜め45度の角度で楽しめるだろう。
それにしても、この本を出版する決断をした編集部に全力の拍手を送りたい。なんといっても、私はこういう作品が好きなのである。
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