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『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました(1)』(森田季節、シバユウスケ、紅緒)

異世界転生ものは、わりとハードなものが多いのだが、本作はわりとほんわかしている。

チートと言えばチートなのだが、「なんか知らんまに、レベルあがっちゃってました」みたいなノリで、高いステータスを持って、この世界から便益をぶんどる、みたいな気概がどこにもない。それがほんわか感の発生源である。

しかし、よくよく考えれば、異世界に転生した人間が、旧世界への復帰を強く望まないばかりでなく、むしろ何の確執もなくあっさり切り捨ててしまっていることは、それ自体が特異ともいえる。しかも、毎日毎日スライムだけを狩って、レベルアップのような達成感も、ダンジョン征服のような充実感もなく、ひたすら長い年月を過ごせるというのは、実はかなりすごいことだ。人間の精神は、そんな環境に適応するようにはできていないのではないかすら思えてしまう。

その意味で、本書の主人公はごくごく平凡な人間にみえて、やはりそうではないのだろう。

というような話は、単なる読み過ぎなので、ほんわかファンタジーものを楽しめばOKである。

スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました(1) (ガンガンコミックスONLINE)
原作:森田季節、作画:シバユウスケ、キャラクター原案:紅緒 [スクウェア・エニックス 2018]

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