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『カフェパウゼで法学を』(横田明美)

比較的コンパクトな本なのだが、手に取った感触はずっしり、である。でもって、内容も負けじとずっしりだ。

対象としては、タイトルにもあるように「法学」を学ぶ人間(特に大学生)なわけだが、副題にある「対話で見つける〈学び方〉」からは、もっと芳醇な学びへの誘いが感じられる。

目次は以下の通り。

第I部 大学生活を楽しもう――1年生編
第II部 レポートをちゃんと書いてみよう――2年生編
第III部 法学を学ぶあなたに――3年生編
第IV部 卒論を書いてみよう――卒論編
第V部 自分の未来を作るには――進路編

本書は、いかに大学生活の中で「学び」を行うのかが解説されている。基本となるのは、「アウトプットの作り方」だが、そんなに狭い話に留まるものでもない。そもそも大学で学ぶというのはどういうことか、そのためにどんな視点が必要か、そして、その学びはどこにつながっていくのか。広い視野から論じられていく。

主要なテーマが「法学」なので、少し堅苦しく感じられるかもしれないが、ぱうぜ先生と学生との対話を通じて話が展開していくので、親しみやすさもある。

ただ、一読すればすぐさま内容を把握できる、という本でもない。なにしろずっしりなのだ。本書にもあるように、〈鳥の目〉と〈虫の目〉を使い分け、じっくり読み込んでいく必要があるだろう。その分、この一冊を押さえれば、幹の部分は充分掴まえられると思う。枝については、自分で貪欲に手を伸ばし、学んでいけばいい。

もちろん、大学なんて卒業できればなんでもいいと考えている人間には縁遠い本だろう。しかし、むしろそういう人間にこそ、たまたま(あるいはうっかりと)手にして欲しい本でもある。

カフェパウゼで法学を―対話で見つける〈学び方〉
横田明美 [弘文堂 2018]

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