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『作家の仕事部屋』(ジャン=ルイ・ド・ランビュール)

どこを取っても面白い本だ。

二十五人の書き手がインタビューに答える形で仕事のやり方を開示するという本なのだが、ロラン・バルト、フランソワーズ・サガン、クロード・レヴィ=ストロースなど錚々たる顔ぶれにまず驚くであろう。

さらにそれぞれの書き手がてんでバラバラなことを言っているのも面白い。家でないと仕事ができない作家もいれば、家でなんて絶対に仕事ができない作家もいる。画一的なノウハウを見出すのはほとんど不可能だろう。その事実自体が、一つの救いになる。強い口調で語られる大文字の「方法」が自分に合わなかったとしても、それはまあしゃーないのだ、と。なにせこんなにバラバラな「方法」で、それぞれの作家が仕事をしているのだから、と。

「いや、自分の仕事はそんなに創造的なものではないし」とバリケードを設置される方もいるかもしれないが、人が生きることそのものが創造的であるからして、何人も創造からは逃げられないのである。

本書は、作家たちがどんな困難を抱えながら日常を過ごし、その困難をケアするために涙ぐましいとも言える工夫を行っているのかを教えてくれる(言うまでもなくそれ自体が創造的だ)。多少張られた見栄もあるだろうが、その分を差し引いても書き手の実態が垣間見える楽しさはまったく失われない。

何かを創造することと、そのための方法は密接に関係している。学問とその方法論が密接しているのに近しいだろう。本書はその意味で、具体的な方法を学ぶというよりは、方法とのつき合い方をメタ的に学ぶ本と言えるかもしれない。もちろん、紹介される方法をちょっと試してみることも楽しいことには違いないわけだが。

ちなみに、似た企画を現代日本でやってくれたらすごく盛り上がるはず。河出さんあたりがやってくれないだろうか。

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