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反論の場所

言及してもらった記事に言及し返す、というのは古き良きブログ文化ですね。一種の対話です。

まず最初に「特に愚痴とかではないので、軽く聞き流してください。単なる観察と考察の結果を記します。」と前置いたのは、心優しい読者さんが「そうか倉下さん困っているのか。だったらカウンターレビューを書こう」などと考えて欲しくなかったからです。そういう読者さんが実際にいらっしゃるのかは私にはわかりませんが、予防線を張っておくのは悪いことではないでしょう。なにしろ歪んだレビューほどたちの悪いものはありません。

でも、直接「レビューは書かないでいいですよ」というと、いわゆる「押すなよ、絶対押すなよ」と同じ効果が発揮されてしまうので、上のような前書きにしたわけです。ややこしいですね。

ということと関係することですが、

もう一つ考えたことがあって、著者は心外なレビューには反論するのもいいと思います。

という部分。佐々木さんが記事で指摘されているような効果はたしかにあるでしょうし、それが本選びの付加情報としても機能するかとは感じます。個人的には「心外なレビューを書かれるのは、自分の文章力・表現力不足だ」と考えているのですが、だからといって何でもかんでも黙っているのが善であるとは言いにくいのかな、とこの記事を読んで改めて感じた次第です。

ただし、問題はそれをどこに書くのか、という点です。

一番「効果的」なのはAmazonレビューに直接ぶつける形でしょうが、そうなると気になるのは「素直な感想が出てくるのか」という点。著者から反論されることが想定される場所で、素直な感想が出てくるようにはあまり思えません。特に、率直かつネガティブな感想が出てきにくい気がします。で、その何が問題なのかと言えば、「正しい」フィードバックが返ってこない点です。

私が何かを意図して書いて、その意図が歪んで伝わったと感じられる感想があったとしましょう。私はそこで、自分の文章力の至らなさや、あるいはそういう理解をする人の存在を知ることができます。これは物書きとして大切なフィードバックです。だから、そういう情報はできるだけ発生して欲しいと思います。

たとえ意図的におとしめるようなレビューであっても、「そういう人が世の中にはいるのだな」と知ることができます。もちろん、それが過剰になれば炎上となり、上のような達観した意見を持つことは難しくなるかもしれませんが、かといって著者を意識したレビューしかないという状況も困りものです。

じゃあ、自分のブログで書けばいいわけですが、それだと元々の読者さんに知らせることになるので、実はあまり広がりがありません。まあ、バズれば別ですが。

というわけで、どこで反論するのか、というのは結構難しいような気もします。ランディングページでも作って、本のタイトルで検索されたときには、そういう情報が目に入る、ぐらいで良いのかもしれません。ともかく難しい問題だと感じます。

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