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『ROBOT×LASERBEAM 1』(藤巻忠俊)

ロボ漫画である、というのは嘘で、ゴルフ漫画である。

主人公・鳩原呂羽人は、特にゴルフが好きではない。しかし、とんでもなく正確にクラブを扱える。そのことが周りのゴルファーを刺激していく。

熱血スポ根とはまったく逆のクールな主人公なのだが、秘めたる熱がある点はやはりスポーツ漫画と言ってよいだろう。彼は主体的な意志でゴルフを始めるのではなく、むしろ、彼の存在が周りを刺激し、その刺激が彼にフィードバックされる形で自ら進む道を決めようとしてく。これは、受動的でありながら、主体的であるという、微妙なスタンスである。

彼は海賊王になることを宣言してはいないし、かといって日々無為に生きているわけでもない。その中間的な(あるいは混濁とした)姿勢で揺れている。そんな主人公を持つストーリーが2017年に語られることには、何かしら意味があるのかもしれない。別段ポストモダン的というのではなく、行きすぎた「主体性」神話が、少し引っ込みつつあるのかな、という印象を覚える程度ではあるのだが。

ROBOT×LASERBEAM 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
藤巻忠俊 [集英社 2017]

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