いやはや、すごい。圧巻と言っていい。
12巻目にして、ようやくタイトルの伏線の回収である。この巻については何を書いてもネタバレになるので内容については触れないが、このタイトルで本作を書き始めたのだから、ここに至るまでのストーリーが著者の頭の中にあった、ということであろう。正直、そういう壮大な構想の場合、個々のエピソードは粗末なものになりがちなのだが、本作はイクタとヤトリの関係、イクタとシャミーユの関係、そしてイクタの父親時代の人間関係、アリオ・キャクレイの野望といったことが丁寧に描かれている。そして、それぞれが面白い。
おそらく、当初提示されていたシャミーユの野望は、本巻が提示した一つの世界観と共にバージョンアップされて、大円団を迎えるのだろう。楽しみである。
本シリーズの一巻では、少し変わった形の戦記物(敗北があらかじめ定められた戦争への道のり)なのかと思い、七巻で「ええっ」という出来事が起こり、そして本巻で大きな視点の転換が行われた。でもって、そこにいびつさや無理矢理さは少しもない。ここに至るまでのストーリーで、少しずつ輪郭は提示されてきている。その巧妙さはやはり、圧巻と言っていいだろう。
もしアニメ版だけしか見てないのならば、ぜひ原作もトライして欲しい。予想しているよりも大きな世界が味わえるはずだ。
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