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『本を読む本』(M.J.アドラー,C.V.ドーレン)

読書術の古典である。

この本を読めば、知的生産における読書術はほぼカバーできるだろう。入門的な要素から、より踏み込んだ本の読み方まで、階層的に論じられている。そして、高度な読み方の射程は長い。長く付き合っていける技術だ。

しかし、問題もある。何かと言えば、本書も一冊の本であることからは逃れられていない点だ。つまり、そもそも本書が読めなければ、次のステップには進めない。

すると、まるっきりの読書初心者には、「『本を読む本』を読む本」が必要になる。そこで私は、自分でそういう本を書いた。『ハイブリッド読書術』と『「本」を読むことについて』がそれである。どちらの本も、最終的なゴールというよりは入り口的な読書の話がしてある。そして、次なる一歩は間違いなく本書になるだろう。

妙な話だが、この本を読んでいると、自分の本の書き方にも影響が出てくる。このような読み方に値する本を書かなければ、という意識が高まってくるのだ。もちろん、意識が高まったからといって実際にそういう本がかけるわけではないが、何もないよりはマシだろう。

最後に「知的エチケットの一般的心得」を抜粋しておく。

・概略」と「解釈」を終えないうちは、批評に取りかからないこと。
・けんか腰の反論はよくない。
・批判的な判断を下すには、十分な根拠をあげて、知識と単なる個人的な意見を、はっきり区別すること。

本を読む本 (講談社学術文庫)
M.J.アドラー,C.V.ドーレン [講談社 1997]

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