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再びKindle Unlimitedについて

Kindle Unlimited(以下アンリミ)のラインナップを覗いてみた。雑誌はスルーしたが、それでも300ページ以上は検索結果をチェックしたと思う。

その結果も踏まえて、つれづれに書いてみる。

まず、私の本棚に並んでいる本との重複率が著しく低かった。1割にも満たないだろう。まずこれによってアンリミが書籍購入の代替にはなりえないことがはっきりした。しかし、逆に言えば私が買わないような本が大量にラインナップされているとも言える。それが月額980円で読み放題なのだ。

いや、買わないような本を読めたところでどんな意味がある……、という疑問はあるだろうが、世の中には「買おうかな、どうしようかな」とギリギリで悩んで買わない本もあるし、「世間では話題になっているけど、私としてはビービー弾ほどの興味もない」という本もある。そういう本がちらっと覗けるのは、なかなか良いかもしれない。

あと、「光文社古典新訳文庫」が結構な数登録されている。だいたい一冊が1000円ぐらいするので、毎月一冊光文社古典新訳文庫を読むのなら、料金のペイについては深く悩む必要はなくなる。あるいは、せっかくアンリミ代払っているのだから、光文社古典新訳文庫の古典を読もう、という動機つけにすらなるかもしれない。それはそれでありだろう。

気楽にオススメ

以上とまったく関係ない話。

少し紹介記事を書いていて思うのだが、圧倒的に本のオススメがしやすい。もちろん、相手がアンリミを使っていたら、という前提がつくのだが、それがつくと、かなり紹介の心理的障壁が下がる。

自分の本も気後れせずに紹介できるし、「誰かが面白い」と言っていた本も易々と紹介できてしまう。それが2000円近い本だって、気にしなくてもいい。

そういう意味では、読書好きにとって楽園のような場所である。今のところアフィリエイトみたいなものもなさそうだから、紹介者の金銭的利益によって紹介される本がバイアスを受けることもない。なんと、古き良きウェブの世界ではないか。

でもって、そうして紹介して、ちゃんと本が読まれたのならば、著者には利益が向かうことになる。もちろん、それほど大きい金額ではないが、何も無いよりはマシだろう。

えっ、紹介者に金銭的利益がない? でも、自分が面白いと思う本を紹介して、面白いと思ってもらえたら、もうそれで十分に報酬でしょう__と、ここではきれいごとを並べていく。ともかく、これまでのウェブの力学を変えるものがこのアンリミにはありそうだ。

税金としての新聞

以上とあまり関係ない話。

市民生活にとって、新聞の購読料は税金のようなものだ、という旨のことを以前finalventさんがおっしゃっていた。

なんとなく、アンリミもそれに近しいものがあるかもしれない。今のところ、ラインナップは十分ではない。それでも、月額980円で読める本の量としては、相当に大きい。

たとえば、その人がNISAとか、外交問題とかに興味を持っていたとしよう。しかし、そのことを知るために1200円も支払うつもりはないとする。そういう場合でも、アンリミに入っているならば、「ちょっと、それ関連の本を読んでみようか」ということになるかもしれない。その人がアンリミに入っている理由が文芸書目的であったとしても、興味が向けば別の本を手に取るかもしれない。

こういうのって、ちょっとだけ新聞購読に構図が似ている気がする(もちろん図書館にも似ている)。

私みたいな人間は、妻に「床が抜けるかもしれない」と不審げな目で見られても本を買い続けるような人間だから良いのだが、多くの人はそこまで本に(ひとまとまりの情報に)お金を使おうとは思わないだろう。しかし、市民生活にとって情報や知識というのは結構重要なのだ。その知識のインフラが月額980円で手に入るなら、それはそれで素晴らしいことだろう。

もちろん、それによって著者や出版社がどのような影響を受けるかまでは加味していない。でも、まったく手に取られないよりは良い気がする。あとは、価格差別的な施策をどれだけ打ち出していけるか、ということになるだろう。

ともかく、しばらくアンリミについては考え続けると思う。もしかしたら、一度中止した購読を継続する決断もするかもしれない。

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