奇想天外な想像力だ。
どこまでも、どこまでも、どこまでも続く、似たような世界。日常的空間がフラグメント化され、それが再帰していく。この世界は一体何なのか。気がついたら、たった二人でその世界に放り込まれていた女子二人が、その謎を解こうと奮闘する__一見、そんな話に思える。しかし、本作は少々込み入っている。
冒頭で提示される奇妙な世界のイメージは、読者が(主人公たちと同じような)ゲーマーならばすっと飲み込めるだろう。それはいい。ただし、後半に入ってくると奇妙なねじれが生じ始める。それは主人公たちの葛藤という形で直接・間接的に描かれてはいるのだが、簡単に言えばテーマは世界から疎外された「私」と、「世界」を疎外する私である。そして、新しい世界の受容が示される。
ほんとうにそれでよかったのか。
奇妙な世界に翻弄されながらも、トゲのような感触が残る作品である。
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