短編小説集。
前衛小説と言っていいだろう。収められた四編は、それぞれが独自のハネかたをしている。
「白雪姫前夜」は、いきなりアクセルを全開にしないとついていけない。そして、気がついたらお話は終わっている。ショートショートにふさわしいリズム感だ。そして、結局何もわからない。
「鏡子ちゃんに、美しい世界」は、一番物語らしい骨格がある。幻想的で、どこまでいっても悲しい。それはつまり生きることでもある。
「/いいえ、世界です。」は、ポップなテイストなのだが、シュルレアリスムな世界にずるずると引き込まれていく。
「おはなしは夜にだけ」は、なんだかよくわからない怖さがつきまとう。一定の速度でついてくる闇夜の足音のような怖さだ。
総じて言えば、奇妙な作品集だ。実験的な試みがあり、前衛的な冒険がある。どんな風に書いているのかが気になる作品集でもある。
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