「天才たちの恋愛頭脳戦」ということで、おそろしく高度な駆け引きが繰り広げられるのかと想像してしまう。そう、たとえるなら『からかい上手の高木さん』の高木さん vs 高木さんのような構図だ。実に恐ろしいではないか。
しかし、実際は西片くん vs 西片くんみたいな感じである。うまくやろうとして、なかなかうまくやれない。そういう面倒くさい二人の恋愛物語、というよりも、それ以前の話かもしれない。
でもまあ、現実だってこういう状況はたくさんあるだろう。「告白した方が負け」的なわけのわからない自分ルールを設定し、その実、はずかしさの言い訳でしかない、みたいなことだ。その点、素直な人間は話が早い。思いついたが吉日と言わんばかりに、なんの謀(はかりごと)もなくまっすぐに進む。そして、ときに失敗し、ときに成功する。実にシンプルだ。
でも、だからといって、そういうカラッとした人間ばかりで構成されている社会は、それはそれで面白みが少ないだろう。ちょっとぐらいひねくれていたり、素直になれない人間がいることで、この世界のカオス的な秩序は形成されていく。
もちろん、ひねくれた人間ばかりの世界もそれはそれでややこしい。その意味で、この作品の生徒会のメンバーは、実にうまくチームとして機能している。石上くんなんて実に良い味を出しているではないか。そういう周りの影響も、どうであれ二人の人間関係を変えていく。
良い方向かどうなのかは、結果が決めることにすぎない。
Tags: