外伝的ストーリー。
本編では断片的にしか提示されなかった、主人公の周りにいた人間のバックストーリーが明らかにされる。というか、熱い。そして泣ける。もちろん、ここまでの本編を読んでいるから、という部分はあるだろうが、『僕だけがいない街』は構図がややこしい分、人との接触が濃厚に描かれていることが本巻で再確認できた。
単なる主人公の取り巻きといったことではなく、それぞれのキャラクターがしっかりと意志を持って息づいている。つまり、本シリーズは、タイムトラベル(タイムリープ)ものでもあり、狂気殺人者と対決するミステリーでもありながら、その中心には仲間との絆を描く物語が据えられている、ということだ。もちろんそれは、「他の人と仲良くしましょう」みたいなつまらない話でないことは言うまでもない。
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