手帳評論家である舘神龍彦氏による硬派な手帳本。特定の手帳の使い方ではなく、「手帳」についての全般的な使い方が視野に入っている。基本的な要素が一通り押さえられているので、新社会人には良い「教材」となるだろう。目次は以下のとおり。
Chapter1 手帳の効能
Chapter2「予定」を手帳に書く
Chapter3「仕事」を手帳に書く
Chapter4「ライフログ」を手帳に書く
Chapter5「メモ」を手帳に書く
Chapter6 手帳を選ぶ
それにしても、このデジタルガジェットが飛び交う現代で、紙の手帳である。なぜに? と思う人もいるだろう。しかし、紙の手帳はデジタルカレンダーの劣化ではないし、デジタルカレンダーは紙の手帳の代替ではない。基本的に別のツールだと考えておけばよい。
カレンダーツールはスケジュールが管理できる。そして、スケジュールしか管理できない。せいぜいタスク管理がついているくらいだ。紙の手帳はもっと柔軟で、寛容である。それは日記にもなるし、メモ帳にもなるし、ノートの代わりにもなる。ぜんぜん別の使い方もできる。それが紙というツールの柔軟性だ。紙の手帳においては、私たちはデジタルツールにおけるプログラマーと似た位置に立てる。オリジナルのカスタマイズが簡単にできるのだ。記入のルールも自分で自由に変えていける。
手帳を、予定の備忘録ではなく、セルフマネジメントツールだと位置づけるならば、そのカスタマイズ性は大いに評価されてしかるべきだろう。なにせ、私たちは一人ひとりが違っているし、管理したい対象も、管理の仕方も変わってくる。それを考えれば、使い方を個別に変えていけるという紙の手帳は、かなり強い魅力の輝きを発揮している。人を惹きつけるのも納得である。
手帳の使い方に「唯一の正解」はない。ただし、基本はある。基礎のノウハウはあるのだ。それを押さえておけば、応用もまたやりやすくなるだろう。