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ニッチなブックの課題

特に愚痴とかではないので、軽く聞き流してください。単なる観察と考察の結果を記します。

2016年の2月に『これから本を書く人への手紙』という本を出版しました。で、発売月は結構売れました。といっても、二桁台ですが。

これから本を書く人への手紙
倉下忠憲[倉下忠憲 2016]

特にレビューとかはなくても、そこそこ動いていたわけです。

で、先日はじめてのレビューをいただきました。星二つのレビューです。

するとですね、これが面白いように売上げが止まるわけです。でもまあ、それは理解できます。たとえば、自分が本を買う立場だったとして、

screenshot

という画面を見たら、ちょっと躊躇してしまいます。購入抑止力が働くのです。

もちろん評価は開かれたものですから、そのことにどうこういつもりはありません(というようなことも本書には書かれています)。ただ「本当に本を出す人は既に知っていて当たり前の事ばかり」とレビューにはあるのですが、本書を読んでたいへん参考になった、勇気づけられたという感想も頂いております。つまり「本当に本を出す人」というのが、ここ数年で変わりつつある現状があるわけで、私はそれを踏まえて本書を世に送り出しました。

「早い人なら30分あれば読めてしまいます」というもの、実は本書の一番最後に書いていますが、本を書いている人にとって一番重要なのは時間であり、その時間を使って原稿を書くこと、手直しすることです。だから詳しいノウハウを読み込んでいる暇があるんだったら原稿に取りかかるのが一番良いのです。そう思って、あまり踏み込んだ形にはしていませんし、だからこそ実用書形式ではなく手紙形式にしました。でもまあ、私の告知とか紹介文の書き方が悪かったのでしょう。その辺は反省課題です。

もし本書が広い対象に向けて書かれた本であれば、(そしてちゃんと書かれた本であれば)、母数が大きくなるので、良い感想と悪い感想が両方上がってきて、その中で「星3.45」みたいな評価(数字は適当です)に落ち着くでしょう。しかし、ニッチな本であれば、なかなかその母数が大きくなることを期待できません。本を読んだ人すべてがAmazonでレビューを書くわけではないので、どうしても偏りが生じるのです。で、最初についたレビューがすべて、という結果に。

そこそこ数が売れている、『ブログを10年続けて、僕が考えたこと』もAmazonレビューは一つです。でも、本書の感想や言及記事は20近くもあります(※)。あと『アリスの物語』なんかも、Amazonではかなり評価は低いですが、SNS周りでは良い感想を頂いています(まあ、著者本人に直接悪いことを言う人は少ない、というバイアスはありそうですが)。
ブログを10年続けて、僕が考えたこと | Official Website参照のこと。

こういう状況を考えると、Amazonレビューをお金を出して買ってしまう著者の気持ちもわからないではありません。でも、これまた上の本で言及していることですが、それは悪手中の悪手です。読者の信頼を裏切る行為ですからね。

というわけで、Amazonのページとは違うところで、感想などを集められるページを作っておく、というくらいが打開策となるでしょう。もちろん、そういうページは自分でせっせとエゴサーチして、自分で情報を追加していく必要があるわけですが、最初に低い星がついてしまって、あとはどうしようもなくなった、という事態は回避できるかもしれません。

あとはもう紹介文ですね。そこでいかにミスマッチを減らせるのか、ということだと思います。その辺はニッチな本であればあるほど重要かと思います。

ブログを10年続けて、僕が考えたこと
倉下忠憲[倉下忠憲 2015]

アリスの物語 (impress QuickBooks)
倉下忠憲[インプレス 2014]

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