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NovelJamの本売りについて考えたこと

NovelJamというイベントが、「短期間で本が完成してすごいね。賞を上げるね」という以上の存在になるのならば、やはり完成させた本が、一定数売れることが必要だろう。

だいたい大抵の賞は本を売るためにあるのだから、というような実際的な話は横に置くにしても、賞は頂いたけど売上げはさっぱり、というのでは、なんとなくありがたみは少ない。

おそらくだが、そのようなイベントは、常に新規軸を打ち出さない限り、話題性が乏しくなり、人集めも難しくなるだろう。むろん、5回くらい続いたらいいね、というテンションならそれはそれで一つの在り方だろうが、そうでないのなら、売上げは結構重要なファクターである。最重要とまでは言えないが、話題性やらなんやらの華を添える要素になるだろう。

で、いかに売るのか、というのは、いかに広めるのか、という話とイコールになる。少なくとも、これまでの本の売り方であればそうだろう。ただし、これまでのマス向けのプロモーションと同じものがこのNovelJamで通用するのかというと、それはちょっと難しいように思う。

どれだけ著者が魂を込めたとしても、やはり二泊三日という時間はそれほど長くはない。他の商業出版の小説が、数ヶ月あるいは数年の時間をかけて一冊の本を作り出しているのだから、それらと横に並べてしまうと、「う〜ん」という感じにはなってしまうだろう。何しろ推敲という過程は、本格的にやれば随分と時間がかかる作業なのだ。よって、そこではやはりコンテキスト込みの受容が必要なはずである。

そう考えると単品でアピールするよりも、NovelJam作品の一作としてアピールした方が、全体的に具合の悪い情報摂取は減るように思う(変な評価をされにくい)。さらに言えば、書き手は、そのNovelJam作品から、別の自分の作品に繋げることも意識した方がいい。方向性は二つあって、無料で読める作品と、数ヶ月をかけた作品である。この両方があれば、新規読者にきちんとアピールできると思う。

簡単にまとめると、単純に「自分のNovelJam作品を売ること」だけを考えていたら、結構つまんなくなるぞ、ということである。お祭り気分が大切かもしれない。

で、まあ、参加していない人間がやいやい言うのも野暮だな〜と思いながら、続きを書いてしまうわけだが、NovelJamの運営主体としては、とりあえず包括的な情報提供を心がけることだろう。作品の一覧、講評の一覧、途中経過の一覧。なんでもいい。ユーザーは細かくクリックしてくれたりはしないから、できるだけ一つの場所で情報が閲覧できた方がいい。また、あえて言うまでもないことだが、情報を出す時期も考えなければいけない。最初にばーっとだして盛り上がったのはいいものの、結局後が続かなくて忘れ去られてしまう、みたいなのは悲しい。適切なマネジメントが必要だろう。

あとは、同盟の会員さんとかにBCCKSのクーポンを配って、好きな作品を読んでもらう(できればレビューをもらう)みたいなものを促進してもいいかもしれない。これはまあシステム的にいろいろややこしさはあるだろうが、レビューがつくことは大切である。特に、「これから名前を売っていこう」段階の人にとって、レビューを頂けるのは歓喜に近い(と予想する)。

ついでに、賞について言えば、誰がどんな理由で選んだのかということがもっと出てきても良いと思う。むしろ、それがないとなかなか本を手に取りにくい。できれば、同じ審査員なら同じ基準で作品を選んでもらえると、参加者も「攻略」しやすくなりそうだなとは思うが、それがはたして良いことなのかどうかはわからない。

まとまらないままにさらに続けるが、では、参加者としては売るために何ができるだろうか。これはもう、発信するしかない。SNSとかで、多少うるさく思われても、発信することだ。もちろん、単なる自慢話とかになってはいけない。あくまで、受け手が興味を持ちやすいような情報提供を心がけることだ。レビューを見かけたらRTしたり、ランディページを作って感想やレビューを一覧できるようにしておいてもいい。

基本的によほどの量でないかぎり、似たようなツイートは人は読み飛ばすものである。だから、毎日のように宣伝しても、それほどうるさくは感じられない。なんなら、固定ツイートを一日おきにRTするくらいでもよい。

一番最初の段階は、興味がある人が買ってくれるので反応も著しいのだが、時間が経てばそういうものも少なくなってくる。興味の閾値が低い人に訴えかける何かがないと、わざわざ手には取ってもらえない。なかなか厳しい世界なのだ。

そういうことがわかると、はたからみると「おいおい、必死だな」と思えるような著者の宣伝が、実に切実なものであることがわかるだろう。やっぱり、自分が書いた本は手にとって欲しいものである。でもって、そのためにできることは(違法なことや、読者を裏切るようなこと以外は)なんでもやった方がいい。ポイントは、たぶん宣伝している著者も楽しめるようなことだろう。

苦行は良くない。楽しい販促を考えたい。

当たり前だが、単に数字を作りたいなら、お金にものを言わせればいい。でも、もちろんそういうことを望んでいるわけではないだろう。自分の本を手にとって読んでもらう。あるいは、自分という著者に興味を持ってもらう。それが一番の目的なはずだ。その辺の軸さえブレなければ、販促方法はいろいろ考えられるし、それなりに効果もあるだろう。一つ言えるのは、何もしなければ何も変わらない、ということだけだ。

とりあえず、一つの大きな山場になるのは、Kindle版が発売されるタイミングである。それを待っている人も少なからずいるかもしれない。いったいいつかはわからないが、そのタイミングに合わせて販促の準備を進めていくと良いのではないかと思う。

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