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『思考の技法』9〜12

ダニエル・C・デネットの『思考の技法』を読み進めている。読書メモ代わりに記事を書いておく。

思考の技法 -直観ポンプと77の思考術-
ダニエル・C・デネット [青土社 2015]

9.操作詞「間違いなく」
10.修辞疑問
11.深っぽい話とは何か?

「修辞疑問」はおなじみであるし、「深っぽい話」も観点は面白いが、道具立てというほどではない。痛烈なのは、操作詞「間違いなく」だ。

デネットは、こう述べる。誰かが文章で「間違いなく」を使っているのなら、まさにそここそが、重要チェックポイントである、と。著者が本当に間違いないと思っていて、かつ読者にもそう思って欲しいからこそ、この言葉を使うわけだが、それが本当に自明のことならば(論証無く間違いないと言えることならば)いちいちこの言葉を使う必要はない。「間違いなく、月は地球の周りを回っている」なんて言わないのだから。

つまり、「間違いなく」という言葉を使っている時点で、実は何かあやふやなものが含まれているのではないかとデネットは疑う。そして、たしかにそうういことはあるのだ。強い言葉ほど、その裏に弱さを潜ませていることは少なくない。むしろ、弱いからこそ強い言葉を欲してしまうのだ。その点にはくれぐれも注意したい。

「汎用的な思考道具」はこれで終了である。次からは「意味あるいは[心的]内容について思考する道具」に入る。

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