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『25年前からのパソコン通信』(Lyustyle)

知的生活ネットワーク」の中の人、Lyustyleさんのセルフパブリッシング本。

1990年代に、派遣教員としてシドニーの日本人学校で教師生活を送っておられた、その生活を振り返った本です。とは言え、「教育」についてのお話ではなく、「生活」に視点を置いた回顧録的なエッセイになっています。しかも、単なる回顧録ではなく、少し構成にひねりがあります。

過去の自分から今の自分に送られてきた「メール」がきっかけとなり、昔書いた自分の記録を自分で読み返す、という建てつけで、視点が二重、三重となっています。それに慣れるまでは__シドニーに降り立った著者がそうであったように__読者は少し戸惑うかもしれません。しかし、いったん雰囲気がつかめると、ずいずいと読み進めていけます。

パソコン関係の懐かしい話題であったり、数年間を海外で生活することの面白さや難しさを伝えるエッセイであったり、また、記録が持つ力を提示する一つの実用書であったりもします。それに、遅れてきた家族への想い、ブッシュファイヤーの恐怖、そしてアボリジニー文化と過去の戦争の話。すべてのエピソードが、誠実かつ真摯に語られています。なかなか深みのある構成です。

でもって、ともかくすごいボリュームです。目次は以下。

海外引越しの洗礼
1. 出発の準備
2. 集荷
3. 船便の恐怖 コラム:ハードディスクの購入による大革命
4. なにはなくともノートPC
5. 日本へのパソコン通信第一報
6. 「海外引っ越しの洗礼」を読んだ私
スタート・アップアップ
7. 最初の夜~裸で家の中を走って回る
8. となりの人はみんな「ガイコクジン」
9. 英語が話せない!
10. 運転免許サバイバル!
11. 一人で暮らすということについて
12. そして2年目へ
13. 「スタート・アップアップ」を読んだ私は
オーストラリア ラブ
14. 生活になじむ
15. 人とつながる
16. そんなのあり?でも,それでいいのだ!
17. 歴史を知る
18. 自然を好きになる
19. 「オーストラリア ラブ」を読んだ私は
20. 赤ちゃんが大やけど
21. 夜中の3時に人の気配
22. まわりが火の海になっても気づかずのんきに暮らしている
23. 「不安を棚上げ!」を読み終えた私は
旧「敵国」に住む日本人
24. 日本はオーストラリアを攻撃した唯一の国
25. 教科書の中に表れた敵国日本
26. カウラのバンザイ突撃
27. 「旧「敵国」に住む日本人として生きる」を読んだ私は
大きな感謝の気持ちを込めて
28. 最後の1年 Windows3.1の到来
29. 帰国3日前の民間ホテルでの会話

これでもコラムは端折った目次です。読み応え満点。

全体的に、1990年代を電子機器の模索と共に過ごしたような人が楽しめる本ですが、それはそれとして、後半はぜひとも若い人に読んで頂きたい内容にもなっています。

25年前からのパソコン通信: 1990年代初頭のシドニーから
Lyustyle [Lyustyle Books 2016]

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