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映画『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 – 永遠と自動手記人形』

外伝ということで、ヴァイオレットは登場するが物語の主軸にはない。

ストーリーは、ふたりの姉妹を中心に進んでいく。ヴァイオレットは、依頼主の代わりに手紙を代筆する自動手記人形としての仕事ではなく、姉妹の姉の方に礼儀作法を教える家庭教師として登場する。彼女は、ひとりで慣れない学園で生活している。なぜか。それが本作の主軸である。

あいかわらず美しい世界、美しい音楽で、それだけで満足できる。姉妹の妹の声を当てるのは悠木碧なので、いち悠木碧ファンとしても十分楽しめる。

もちろん、本作は「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」なのであるから、手紙もまた重要な位置づけを持っている。手紙が伝えるものと、色あせず人の心の中に残り続けるもの。私たちは、リアルタイムでせわしなく交わされる「おしゃべり」ではなく、手間と時差のある「手紙」を通して交信するとき、そこに見えないものを得る。

誰がその手紙を書くのかは本質的な問題ではない。どのような思いを込めてその言葉がつづられるのかが重要である。そして、時と場合によっては本人以外によって綴られた言葉の方が、より切実にその思いを運んでくれることもある。

手紙は不思議なメディアだ。人と時間と心と言葉が、さまざまに絡み合っている。


監督:藤田春香[ポニーキャニオン 2020]

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