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『転生したらスライムだった件』(川上泰樹)

小説作品のコミカライズ。

異世界転生と言えば、だいたいがチートものである。つまり、とんでもなく強かったり、強力な異能を持っていたりする。『ノーゲーム・ノーライフ』のように、現実世界での異常な能力が、ものすごくフィットする世界に飛ばされるという設定もあるが、どちらにせよその世界では強者として主人公たちは迎え入れられる。

それなのに、本作のタイトルは「スライム」である。おや、と一瞬思ってしまう。逆チート系なのではないか、『灰と幻想のグリムガル』のように、弱々しい状態から少しずつ強さを得ていく物語なのではないか、と。

半分あたりで、半分間違いだ。本作はたしかに少しずつ強さを得ていく物語ではあるが、やっぱりチートである。強者のさらなるレベルアップ物語なのだ。

だとしたらつまらないのではないかと思うが、まったくそんなことはない。所詮そうしたもろもろの要素は舞台装置でしかない。その上で演じられるストーリーが重要なのは間違いない。でもって、本作はそれが面白い。魔物たちと魔王、名付けとレベルアップ、村作りの難しさ……。ゲーム世界の影響を強く受けたようなファンタジー世界にどっぷり浸かれる作品だ。おそらく『オーバーロード』が好みならば、本作の楽しめるだろう。

転生したらスライムだった件(1) (シリウスコミックス)
原作:伏瀬 漫画:川上泰樹 キャラクター原案:みっつばー [講談社 2015]

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