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『思考の技法』1〜3の道具

ダニエル・C・デネットの『思考の技法』を読み進めている。読書メモ代わりに記事を書いておく。

思考の技法 -直観ポンプと77の思考術-
ダニエル・C・デネット [青土社 2015]

まず「汎用的な思考道具1ダース」として、12個の技法が紹介される。それを少しずつ読んでいく。

1.「誤ること」
2.「推理のパロディによって」
3.ラポパートのルール

「思考のパロディによって」は、少々分かりづらいが、言葉にすれば「もし、〜〜が正しいのだとするならば、××は○○ということですよね」と、相手の論を飲み込んだ上で、極端な状態を仮定して、そこに含まれる怪しさ、危なっかしさ、矛盾をあぶり出すという方法だ。よく使われる。

「ラパポートのルール」は、上手い反論(批判)の書き方に関するルールで、場外乱闘しかやり方をしらないウェブの書き手はぜひとも学んでおいた方がいい(使う、使わないは別にして)。

でもって、最初の「誤ること」だ。デネットが一番最初に挙げているのも、もちろん納得できるだろう。これ以上の思考の道具があるだろうか。間違えないで前に進むものなど何もない。一般的に「進化」と呼ばれているものも、その大半は失敗を前提とした改変アプローチなのだ。うまくいったものを残し、そうでないものは変える。そしてそれを繰り返す。幸い、思考は、そうした適者生存を恐ろしいスピードでこなすことができる。

よって、重要なのは、デネットが書いているとおり、「戦略的に誤りを犯すこと」なのだ。失敗を避けるのではなく、発見がある失敗、何かが確認できる失敗。うまくいけばまったく新しい地平が得られる失敗、何度繰り返しても致命的にならない失敗。そうしたものを狙って行っていく。つまり、成功への道のりは、Failure managementの出来映えにかかっている。

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