マックス・ウェイバーの著書に『職業としての学問』という本がある。
彼がミュンヘンで行った講演を書き起こしたもので、ひどく薄い。本文だけなら74ページ(岩波文庫版)だ。ボールペンより厚みがない。
もちろん、ぱぱっと読める。それで彼の講演が擬似的に体験できる。現在文庫本で475円。お安い。あらゆる意味でお手軽だ。そして、Just Sizeでもある。
で、考えてみると、今現在こういうサイズの本を新刊で書けるかというと、かなり厳しいだろう。分量的にも値段的にも厳しい。長さにも値段にも相場というものがあるのだ。
となると、不幸なことが二つ考えられる。短いサイズが適切なコンテンツが、水増しによってボリュームアップさせられるか、あるいは短いという理由で本にならないかだ。どちらにせよ、悲しい結果である。そして、そのような悲劇が起こるのは、業界のこれまでの慣習とコスト構造だろう。
少なくとも、その点に関しては電子書籍が一つの希望を有していると思う。既存の構造に縛られない出版が可能なので、「短いコンテンツを安く売る」ことができるのだ。
当たり前だが、すべての本がこうして売られることが良い、という話はしていない。単に、「短くてもいいし、むしろ短くて安い方がいい」というコンテンツがあるはずだ、ということを再確認しているだけである。
だから、電子書籍オリジナルの本の企画を考えるときは、ゼロベースで考えた方が良いだろう。
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