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『目を閉じて、みえるもの』(るう)

るうマニアSIDE-B」の中の人、るうさんのセルフパブリッシング本。

過去のブログ記事をまとめた一冊となっています。エッセイと詩を足して2で割り、秘伝のスパイスをふりかけた、という感じのテイストです。

  • 道について
  • Tiny Bubbles
  • 言葉は遊具でありたい
  • Lyrics(比喩という暗号)
  • つむじを見るために
  • 紙の本への懺悔
  • マテリアルの消滅
  • 一度も行かなかった
  • 赤い星の住人
  • 素通りできるひと

まずはちらっとブログをチェックしてみて、文体の好みが合いそうなら本書もチェックしてみる、という流れが良いでしょう。

ちなみに、私は本書の後半あたりがズブズブ刺さりました。遠回しなようでいて、急にダイレクトに切り込んでくるような独特の文章のリズム感があります。

追加情報としては、本書のEPUB作成に関する技術的サポートと、簡易のレビューを私が担当させていただいております。そうです。ブログ・セルフパブリッシング界のフィクサー(ただし前線出る)とは私のことです(笑うところですよ)。

で、まったく話は逸れるのですが、2016年は、こうしたブロガーのセルフパブリッシング本が少しずつ増えてきた年でもありました。『25年前からのパソコン通信』があり、『Piece shake Love』もありました。本書を含めてこれらの三冊は__『25年前からのパソコン通信』は少し違うかもしれませんが__別段「実用書」というわけではありません。言ってしまえば、エッセイです。もっと言ってしまえば、素人のエッセイです。

で、この「素人の」という部分が、もちろん商業出版ではネックとなって、これまで「本」になることはありませんでした。でも、それはこれらのコンテンツに「価値」がないことを示すわけではありません。ペイしない、というだけなのです。

そのフレームを取っ払って、真摯な目で見つめてみれば、やっぱりこういう「本」も面白いわけです。少なくとも、面白がれる人は存在しています。それは決してマスではないかもしれませんが、読者はそこにいるのです。

私たちが何かの価値を判断するとき、ついついマスでないものは無価値だと感じがちですが、それは工業化資本時代(マスプロダクト時代)の名残でしかありません。価値の在り方は、もっと自由で多用なはずです。

もちろんセルフパブリッシングで出したからってペイすることはないでしょう。しかし、そもそもブログを書いていること自体がもうペイしていないのです(少なくとも金銭的・時給計算的には)。だから、こういう「本」作りも、その延長線上に位置づければよいでしょう。文章を書くことが好きならば、何かを用いて伝えることが好きならば、「本」という土俵でそれをやってみることは、きっと良い経験になるはずです。

とは言え、作業はハーフ地獄ぐらいにはしんどいかもしれませんので、ブログを書くことを金銭的な収入の手段としている人は避けた方よいでしょう。その分ブログの記事を書いている方が「経済的」です。

目を閉じて、みえるもの
るう [2016]

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