ヒーラーにひ弱なイメージがある? まずそれを改めよう。
広い戦場で、負傷した味方を回復してまわるのだ。強靱な体力が必要であることは疑いないだろう。なに? 重傷で動くこともできない? よし後方で集中治療だ。と重傷者を担いで運ぶには筋力も欠かせない。
そう。教会の奥で、負傷者を待っているだけでは済まないのだ。回復魔法の有無が戦況を分ける決定的要因になるからこそ、彼らは先に倒れるわけにはいかない。だからこそ、猛烈なトレーニングを積む必要がある。
という少し変わった考え方を持つ世界に召喚された主人公ウサトは、一緒に召喚された二人が勇者だったのにも関わらず、彼の適正は治癒魔法使いだった。そこからは苦労の連続である。
回復魔法に焦点を当てた作品で言えば、『回復術士のやり直し』があるが、本作はあんなに暗くもないし、エロくもない。わりと純粋な熱血ファンタジーである。
もちろんチート要素がないわけではないが、それは一般的な熱血系バトル漫画とかわりない程度であり、特に目につくものではない。「異世界からやってきた感」も序盤を過ぎればほとんど消え去っていく。残るのは、厳しい戦場とバトルだ。
それにしても、現実の世界にしてもそうなのだが、人を救う立場の人ほどタフさを要求される。私たちは、この世界が、こうして維持されていることに感謝した方が良いのだろう。
漫画:九我山レキ,原作:くろかた,キャラクター原案:Keg [KADOKAWA/角川書店 2017]
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