0

『不可能、不確定、不完全』(ジェイムズ・D.・スタイン)

数学と物理学がテーマだが、数式はあまり登場しない。出版業界のあのまことしやかな<法則>から考えても、この本の売り上げは安泰、というわけだ。

本書では「ハイゼンベルクの不確定性原理」「ゲーデルの不完全性定理」「アローの不可能性定理」の3つが紹介されている。いかにも小難しい響きがあるが、心配はいらない。数式の出現密度が低いだけでなく、身近な話を用いて、わかりやすく解説されている。

実生活にどれだけ役立つのかと言われれば、残念そうに首を横に振らざるを得ないのだが、実に魅力的なお話が繰り広げられている。この世界がどのようにできているのか。その理解こそが、教養へ至る道なのかもしれない。

不可能、不確定、不完全: 「できない」を証明する数学の力 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫―数理を愉しむシリーズ)
ジェイムズ・D.・スタイン [早川書房 2012]

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です