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『ソードアート・オンライン プログレッシブ5』(川原礫)

プログレッシブ・シリーズの第五巻。やはりというかなんというか、このシリーズは本編と違い、いかにもRPG風ファンタジーという感じで楽しめる。同じ作品なのに、ここまで雰囲気が違うのも面白いところだ。おそらくこちらにはメタ的な構造がほとんど含まれていないからだろう。SFとファンタジーの掛け算、という感じが薄いわけだ。

さて、本巻ではアスナとキリトの心理的な距離感が変わっていることが、システムの動作を用いて表現されている。こういうことができるのが、この舞台設定の面白いところである。文学的とまでは言わないが、小説的ではあろう。

加えて言うならば、本シリーズはアインクラッド攻略というストーリーラインと、それと並行して進むPK軍団との戦いというストーリーラインが交じり合っているのだが、本作はどちらかと言えば後者の重みが強かったように思う。ただ、それでも「現実」側の存在が希薄なので、PKの重さというのは、案外伝わってこない部分はあった。これはもうどうしようもないところだろう。

それはそれとして、RPG風ファンタジーものとしては安心して楽しめるシリーズである。

ソードアート・オンライン プログレッシブ5 (電撃文庫)
川原礫 イラスト: abec [KADOKAWA 2018]

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