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残業を減らし定時で帰る仕事術〜SE女子のタスク管理奮闘記〜(ぞえ)

いや〜、やられた。なにがって、ひよこである。

本書は漫画仕立てのタスク管理話で、主人公であるぞえさん(SE)が、仕事に押しつぶされている状況をマスターに教えを請いながら少しずつ打開していくというよくあるメンター系ストーリーなのだが、そのメンターがなぜかひよこである。登場人物紹介には、

突如現れた謎のひよこ。喋る。自称タスク管理マスター。

とぶっ飛んだ説明がある。なぜだかここだけファンタジーなのだ。

いや、動物を持ってくるのは理解できる。馴染みやすいことは間違いない。でも、なぜひよこなのだ。くまではまずかったのか。だって、「たまごくらぶ」「ひよこくらぶ」という雑誌のタイトルが示しているように、ひよこはまだ成長途中のイメージである。「マスター」という印象とはほど遠い。でも、そのギャップが妙にツボにはまる。

それに、さすがはタスク管理マスターを自称するだけあって、ひよこ氏の教えはいちいちまっとうだ。充分に頷ける。ただし、あくまで「タスク管理のいろは」であって、要するに初心者向けの話ではある。まかりまちがっても倉下忠憲や佐々木正悟が書く、「通が好むタスク管理談義」ではない。その意味では、タスク管理との出会いの一冊であるとも言えるだろう。

もちろんタスク管理を覚えたからといって、毎日ちゃんと定時に帰れるようになるわけではない。それこそファンタジーだ。が、ある種の余裕めいたものを取り戻すことはできる。主体的な感覚と言い換えてもいいだろう。それだけでもストレスはずいぶん低下する。それに集中力のマネジメントがうまくいけば、単位時間当たりの成果の出方もきっと変わってくる。それくらいの力はタスク管理にはありそうだ。

ただ本当にブラックな職場はタスク管理ごときではどうしようもないことだけはここでは書いておこう。そういうときはそそくさと逃げるのが賢明だ。そうでないのなら、時間の使い方・予定の立て方を見直してみるのも良いだろう。

残業を減らし定時で帰る仕事術〜SE女子のタスク管理奮闘記〜
ぞえ[金風舎 2016]

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