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アニメ『91Days』

「91Days」(ナインティワンデイズ)は、禁酒法時代を舞台にしたマフィアもので、一人の青年の復讐劇を描いている……のだと、思っていた。少なくとも始まる前は。

なんとなく、カウントダウンみたいなものがあり、「あと30日で復讐を達成しないといけない」みたいな情景があって、いかにその困難を達成していくのかという、ハリウッド的なアクション&ミステリーものかと思っていたのだ。実際は違っていた。トリックというか、ミステリー要素もあるが、それが中心というわけではない。復讐に嵌り込むあまり、壊れてしまう人の心の話でもない。

では何が中心かと言えば、これは家族(ファミリー)の物語なのだ。そしてそれは因果の物語でもある。

正直に言って、全体的に雰囲気は暗いし、空気は狂気と暴力に満ちている。私好みの雰囲気だ。希望がどこかにあるのかと問われれば、首を横に振るしかないし、かといって絶望を狂人的に楽しむ作品でもない。ただし、物語が面白くなってくるのは、明らかな狂人であるファンゴが登場してからではある。彼がいるからこそ、アヴィリオの位置づけがはっきりしてくるし、だからこそアヴィリオとネロの複雑で微妙な関係性が際立ってくる。

ともかくウキウキするような物語ではない。むしろ全体的にジメジメとしているのだが、最後は不思議と爽快な気分にもなってくる。不思議な作品である。

91Days  VOL.1(イベント優先販売申込券封入) [Blu-ray]
監督:鏑木ひろ [松竹 2016]

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