いろいろ調べて並べてみましょう。
日本の「ビジネス書」史 2000年頃〜2010年頃
K・ブランチャードの『1分間マネジャー』が1983年の2月。
ジェームズ・C・コリンズの『ビジョナリー・カンパニー』が1995年の9月。
スティーブン・R. コヴィーの『7つの習慣』が1996年の12月。
デール・カーネギーの『道は開ける 新装版』『人を動かす 新装版 』が1999年の10月。
スペンサー・ジョンソンの『チーズはどこへ消えた?』が2000年11月。
ロバート・キヨサキの『金持ち父さん貧乏父さん』が2000年の11月。
ケリー・グリーソンの『なぜか、「仕事がうまくいく人」の習慣』が2001年の2月。
エリヤフ・ゴールドラットの『ザ・ゴール』が2001年の5月。
P・F・ドラッカーの『マネジメント[エッセンシャル版]』が2001年の12月。
マーカス・バッキンガムの『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう』が2001年の12月。
デイル・ドーテンの『仕事は楽しいかね』が2001年の12月
本田健さんの『ユダヤ人大富豪の教え』が2003年の6月。
アービンジャー・インスティチュートの『自分の小さな「箱」から脱出する方法』が2006年の10月。
本田直之さんの『レバレッジ・リーディング』が2006年の12月。
勝間和代さんの『効率が10倍アップする新・知的生産術』が2007年の12月。
奥野宣之さんの『情報は1冊のノートにまとめなさい』が2008年の3月。
デイビッド・アレンの『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』が2008年の12月。
美崎栄一郎さんの『「結果を出す人」はノートに何を書いているのか』が2009年の9月。
堀正岳さんと佐々木正悟さんの『iPhone情報整理術』が2009年の10月。
流れ
まず、私の考えを述べておくと、現在ビジネス書と呼ばれているのはざっくり3つのカテゴリの集合体で、
・経営書
・自己啓発書
・ビジネス技術書(ノウハウ本)
から構成されています。
で、2000年頃までは、ビジネス書と言えば「経営書」でした。経営に関する本であり、経営者向けの本でもあります。少し幅を拡げてマネジメント層に向けた内容と言ってもいいでしょう。そういう人たちが知識を必要とし、実際にそれを買い求めていたのでしょう。
2000年以降から少し風向きが変わります。「経営書」の内容をもう少しわかりやすく書いたものが増えてくるのです。『マネジメント[エッセンシャル版]』や『ザ・ゴール』がそれにあたります。これは「経営者」的な知識が、それまでよりも広い範囲で求められるようになった社会事情を反映しているのかもしれません。
すべての知識労働者は、自分の労働に対して裁量を持つので、知識や技術だけでなく、自分自身のマネジメント能力も求められます。その点は、ドラッカーの著作が、経営者(マネジメント層)だけでなく、広く知識労働者向けに書かれていることからも明らかです。
その後、おそらくは社会情勢(景気)の悪化もあったのでしょう。会社があてにならないような時代では、個人と「金融知識」や「固有のスキル」といったものが結び付いていきます。会社に自分の人生を預けられないのならば、自分自身で舵取りするしかありません。そのための知識やスキルが求められるようになった、ということです。
その延長線上に、仕事に直接関係する技術を解説する本が増え(「できるビジネスパーソンになる」)、そこにデジタル機器を扱うようなノウハウも絡まり(「スマートフォンとクラウド」)、現在までに至っています。
まとめ
こうして眺めてみると、「ビジネス書」が扱っている範囲は増え続け、読む人も一部の経営層だけでなく、ビジネスパーソン全体にまで裾野が広がっている状況です。でもって、自己啓発書は、だいたいにおいて、いつの時代も売れています。まあ、それはそうでしょう。
とりあえず、過去から現時点まで線を引いたのなら、あとはその線を未来方向まで延ばせば、何かしら面白いものが見えてくるかもしれません。とは言え、2010年以降もまた別の動きはありそうです。ピケティやエクセル本のヒットは考慮しなければいけないでしょう。
が、とりあえずは、ここまでにしておきます。
▼元になった動画
のきばトーク第17回のテーマは、「ビジネス書」でした。